台所で玉ねぎとごぼうを切る女性

オリゴ糖という言葉は、食品の表示や甘味料の棚でよく見かけます。けれども、それが何なのか、なぜ腸の話に出てくるのかは、意外と知られていません。ここでは、オリゴ糖の正体と、腸まで届いたあとにそれを受け取る菌について見ていきます。

目次

糖が、数個つながったものです

ブドウ糖や果糖のように、それ以上分けられない糖を単糖と呼びます。単糖が二つつながると、砂糖や乳糖のような二糖になります。そして、たくさんつながると、でんぷんや食物繊維のような大きな糖になります。

オリゴ糖は、その中間です。「オリゴ」は「少し」という意味で、単糖が数個から十個ほどつながったものをまとめてこう呼びます。どこまでをオリゴ糖に含めるかは、分野によって少し違います。

ここで大事なのは、オリゴ糖というのは一つの物質の名前ではなく、大きさによる呼び名だということです。つながっている糖の種類も、つながり方もさまざまで、その違いによって体の中での運命が分かれます。

甘さは砂糖より控えめなものが多く、料理や菓子の甘味料として使われることもあります。

糖のつながり方には、向きや位置の違いがあります。同じブドウ糖が二つつながっていても、つながり方が違えば別の物質になり、切ることのできる酵素も違ってきます。オリゴ糖の種類が多いのは、この組み合わせが多いためです。

腸まで届くものと、届かないものがあります

人の小腸には、糖のつながりを切る酵素がいくつかあります。でんぷんをほどく酵素がその代表です。でんぷんと同じつながり方をしたオリゴ糖は、この酵素で切られ、小腸で吸収されます。

一方で、人の酵素では切れないつながり方をしたオリゴ糖もあります。フラクトオリゴ糖やガラクトオリゴ糖などがそうです。これらは小腸を素通りし、大腸まで届きます。腸内細菌の話にオリゴ糖が出てくるのは、この届くほうのオリゴ糖のことです。

つまり、同じ「オリゴ糖」でも、すべてが腸の菌のところまで届くわけではありません。表示を見るときは、どの種類のオリゴ糖なのかに目を向けると、話がわかりやすくなります。

大腸まで届くという点では、オリゴ糖は食物繊維と似た立場にあります。違うのは、鎖が短いぶん、菌にとって扱いやすいことです。

市販の甘味料として売られているオリゴ糖にも、いくつかの種類があります。大腸まで届く種類が主に使われていますが、製品によっては小腸で吸収される糖が一緒に含まれていることもあります。

ふだんの食べ物にも含まれています

オリゴ糖は、特別な食品だけのものではありません。玉ねぎ、ごぼう、にんにく、アスパラガス、バナナなどには、フラクトオリゴ糖が含まれています。大豆には、ラフィノースやスタキオースといったオリゴ糖が含まれています。

豆を食べたあとにガスが出やすいと感じるのは、このオリゴ糖が大腸に届き、菌に発酵されるためです。

そして、とても大きな例が母乳です。母乳には、200種類を超える構造のオリゴ糖が含まれていることがわかっています。量としても、乳糖、脂質に次ぐ多さです。赤ちゃん自身はこのオリゴ糖をほとんど消化できません。母乳のオリゴ糖は、赤ちゃんの腸に住む菌のための糖だと考えられています。

人が自分では使えない糖を、わざわざ大量に含んでいる。母乳のこの性質は、腸内細菌と人の長い付き合いを物語っています。

野菜に含まれるオリゴ糖の量は、品種や保存の状態、加熱の仕方によっても変わります。同じ玉ねぎでも、毎回同じ量が届くわけではありません。食材から届くものは、もともと揺らぎを含んでいます。

受け取るのは、ビフィズス菌だけではありません

大腸に届いたオリゴ糖を受け取る菌として、よく名前が挙がるのがビフィズス菌です。ビフィズス菌の多くは、オリゴ糖を取り込むための入口や、分解するための酵素をそろえています。取り込んだ糖からは、酢酸や乳酸をつくります。

ただし、オリゴ糖を使えるのはビフィズス菌だけではありません。バクテロイデスの仲間など、ほかの菌もオリゴ糖を利用します。さらに、ある菌がつくった酢酸や乳酸を別の菌が受け取り、酪酸などに変える受け渡しも起きています。

どの菌がどれだけ受け取るかは、オリゴ糖の種類によっても、その人の腸に住む菌の顔ぶれによっても変わります。オリゴ糖を食べれば、決まった菌だけが増えるという単純な話ではないということです。

鎖が短いオリゴ糖は、大腸の入口に近いところで素早く発酵されやすいとされます。長い食物繊維は、もっと奥まで運ばれながら、ゆっくり分解されていきます。

ビフィズス菌の中でも、どのオリゴ糖を使えるかは種類によって違います。母乳のオリゴ糖を得意とする種類もいれば、植物由来のオリゴ糖を得意とする種類もいます。同じ名前の菌でも、好みは一様ではありません。

とりすぎると、おなかがゆるくなることもあります

届く糖である以上、一度にたくさんとると、大腸での発酵が一気に進みます。ガスが増えたり、おなかが張ったりするのはそのためです。

また、吸収されない糖が大腸に多く残ると、水を引き込む性質によって、便がゆるくなることがあります。糖アルコールでおなかがゆるくなるのと、仕組みはよく似ています。

オリゴ糖を意識するなら、甘味料として大量に足すよりも、玉ねぎや豆、野菜など、ふだんの食材から少しずつ届けるほうが、菌にとっても体にとっても無理がありません。食材の中では、オリゴ糖は食物繊維などほかの成分と一緒に届きます。

糖は、ただのエネルギー源ではありません。小腸で吸収される糖は人のために、届く糖は菌のために。オリゴ糖は、その分かれ道に立っている糖です。

どのくらいでおなかがゆるくなるかは、人によってかなり差があります。腸に住む菌の顔ぶれや、もともとの食事の内容によって、同じ量でも感じ方が違います。少量から試して、自分の体の反応を見ることが大切です。

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