リビングで猫に食事を出す女性

同じペットでも、犬と猫では体のつくりがかなり違います。とくに猫は、肉を食べるように体ができている動物です。ここでは、その猫の腸に住む菌について、人や犬との違い、食べ物との関係を見ていきます。

目次

猫は、肉を食べるように体ができています

猫は、完全肉食動物と呼ばれる動物です。必要な栄養の多くを、動物の肉からとるように体ができています。

たとえば、タウリンという成分は、人や犬は体の中である程度つくれますが、猫はつくる力がとても弱く、食べ物からとる必要があります。キャットフードにタウリンが加えられているのはそのためです。

味の感じ方にも違いがあります。猫は甘味を感じるための遺伝子が働いていないことがわかっています。甘いものに興味を示さない猫が多いのは、好みというより、体のつくりの違いです。

こうした違いは、腸のつくりにも表れています。植物を食べる動物に比べると、猫の腸は短く、植物の繊維を長い時間かけて発酵させる盲腸も小さくなっています。

猫の祖先は、乾いた土地で小さな動物を狩って暮らしていたと考えられています。水をあまり飲まない猫が多いのも、獲物の体に含まれる水分で多くをまかなってきた暮らしの名残だといわれます。

それでも、腸には多くの菌が住んでいます

肉食だからといって、猫の腸に菌が少ないわけではありません。猫の大腸にも、多くの種類の菌が住んでいます。

その顔ぶれは、人とは少し違います。人の腸でも見られる菌の仲間に加えて、フソバクテリウムという仲間が比較的多く見られることが、猫の腸内細菌の特徴の一つとして報告されています。

猫の大腸に届くのは、植物の繊維よりも、消化しきれなかったタンパク質や脂が中心です。菌は、届いた材料に合わせて顔ぶれを変えながら暮らしているので、肉を中心に食べる動物の腸には、それに合った菌が集まります。

とはいえ、猫の腸の菌も、届いた繊維を発酵させて短鎖脂肪酸をつくることはできます。肉食の動物でも、植物の材料がまったく使われないわけではありません。

猫の腸内細菌の研究は、人や犬に比べるとまだ数が多くありません。どの菌が猫の腸でどんな仕事をしているのかは、これから少しずつ明らかになっていく分野です。

食べるもので、菌の顔ぶれが変わります

2014年に発表された研究では、子猫を二つのグループに分け、タンパク質が多く炭水化物が少ないフードと、タンパク質と炭水化物が中くらいのフードを与えて、生後8週から16週までの便の菌を比べました。

その結果、二つのグループでは菌の顔ぶれがはっきり違っていました。タンパク質の多いフードではクロストリジウムやフソバクテリウムなどが多く、炭水化物の多いフードではビフィズス菌やメガスファエラなどが多く見られました。

子猫6匹ずつの小さな研究なので、これがすべての猫に当てはまるとは言えません。それでも、肉食の猫であっても、食べるものによって腸の菌の顔ぶれが変わることを示しています。

大腸に届くタンパク質が多いと、菌はそれを分解して、においのある成分などをつくります。余ったタンパク質の行き先は、人でも猫でも同じような道筋をたどります。

研究の中で、タンパク質の多いフードを食べた子猫のほうが、菌の種類の数が多かったことも報告されています。菌の種類が多いか少ないかだけで、よい悪いを決められるわけではない、ということも覚えておきたい点です。

牛乳でおなかがゆるくなる猫もいます

猫にミルクをあげる場面は、物語や絵でよく見かけます。けれども、大人の猫は、牛乳に含まれる乳糖を分解する力が弱いことが多いです。

分解されなかった乳糖は大腸に届き、菌に発酵されたり、水を引き込んだりします。その結果、おなかがゆるくなることがあるのは、人で乳糖が合わない場合と同じ仕組みです。

人にとって体によいとされる食べ物が、猫にとってもそうとは限りません。犬でも人と前提が違うように、猫はさらに人と離れた体のつくりをしています。

猫に人の食べ物を分けるときは、量をごく少なくし、そのあとの便の様子を見ることが大切です。

猫用のミルクとして売られているものは、乳糖を減らすなどの工夫がされていることが多いです。人の飲む牛乳をそのまま与えるのとは、前提が違います。

フードを変えるときは、ゆっくり進めます

腸の菌が食べ物に合わせて顔ぶれを変えるということは、裏を返せば、急に食べ物が変わると、菌が追いつかないということでもあります。フードを変えたときにおなかをこわすのは、このためです。

フードを切り替えるときは、元のフードに新しいフードを少しずつ混ぜ、1〜2週間ほどかけて割合を増やしていく方法がよくとられます。そのあいだ、便の固さ、におい、回数を見ておくと、腸の様子を知る手がかりになります。

猫は、体調の変化を表に出しにくい動物だといわれます。便やトイレの様子は、言葉を話さない猫からの数少ない便りです。気になる変化が続くときは、早めに動物病院に相談してください。

肉を食べるように体ができた猫の腸にも、その体に合った菌の暮らしがあります。食べるものと腸の菌はつながっている。その点は、人も猫も変わりません。

年齢によっても、猫の腸の様子は変わります。子猫と、年を重ねた猫とでは、食べる量も消化の力も違います。年齢に合ったフードが用意されているのは、体の変化に合わせるためです。

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