30~65才までの2型糖尿病の累積リスク

Cumulative Risk of Type 2 Diabetes in a Working Population: The Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study

Huanhuan Hu, Tohru Nakagawa, Hiroko Okazaki, Chihiro Nishiura, Teppei Imai, Toshiaki Miyamoto, Naoko Sasaki, Makoto Yamamoto, Taizo Murakami, Takeshi Kochi, Masafumi Eguchi, Kentaro Tomita, Satsue Nagahama, Keisuke Kuwahara, Isamu Kabe, Tetsuya Mizoue, Seitaro Dohi

2型糖尿病発症についてトレースした文献です。対象は、男性46,065人および7,763人の女性(30〜59歳)。最大7年間のトレースにおける2型糖尿病の発症は、3,587人(男性3,339人、女性248人)。日本の30歳から59歳の男性の33.3%、女性の20%が糖尿病を発症していました。

累積リスクは男性で34.7%(95%信頼区間、33.1–36.3%)、女性は18.6%(95%信頼区間、15.5〜21.7%)になったとのこと。

BMI※層別分析では、肥満(BMI≥30kg/m2)および過体重(BMI 25–29.9kg/m2)の男性と女性は2型糖尿病の累積リスクがかなり高いということになりますね。
端的に言えば、体重が増えるほどリスクが高まります。体重管理がなにより肝ということでしょうか。

※BMI(Body mass index)

肥満度の指標。体重と身長で計算できます。 BMI=体重kg/(身長m)2

BMIが”22”の時に高血圧、高脂血症、肝障害、耐糖能障害等の有病率のリスクが最も低くなります。BMI=”22”となる体重を理想としたのが標準体重です。
標準体重=22×(身長m)2

 


超高齢化社会(前回の記事参照)を迎えて、高齢者の活躍が期待されています。そのため健康寿命を延ばすことが重要になってきました。加齢とともに気力や体力、心身の活力が低下した状態は「フレイル」と呼ばれていますが、フレイルは要介護に移行する段階でもありますが、一方で早期に気づき、悪化を予防するとこで健康な自分に戻ることが可能なステージとも言われています。フレイルは効果的に予防が可能な段階。介護が必要になる時期を先送りして、健康を長く維持しましょう。

フレイルとは
虚弱を意味する「Frailty」からくる言葉で加齢による心や身体の活力の低下が起こった状態。具体的には健康な状態と介助が必要な介護状態の中間を意味します。早期に兆候を見つけて生活を見直すことで改善する可能性があります。

フレイルの要因

生活習慣病などの重症化や加齢にともなう心身の変化による2つの要因があります。筋力や基礎代謝、食欲の低下による状態がさらなる筋力低下や体重減少につながる悪い循環(フレイルサイクル)が生まれます。骨折や慢性疾患の悪化が起こりやすく、要介護状態になる可能性が高まります。

 

フレイルセルフチェック

自己チェックで身体を確認しましょう。当てはまるボックスにチェック☑を入れます。

2~3kgの体重減少がある。(半年以内) ❑ はい◉ ❑ いいえ
歩く速度が遅くなってきた。1m/秒未満 ❑ はい◉ ❑ いいえ
軽い運動を週1回以上している。 ❑ はい  ❑ いいえ◉
5分前のことが思い出せない。 ❑ はい  ❑ いいえ◉
疲労感が続く。とれない。 ❑ はい◉ ❑ いいえ

◉がつく回答にチェックはいくつありましたか?
0個 問題なし 1~2個 予備軍 3~5個 フレイル

フレイル予防のための日常生活で注意したいポイント

フレイルを予防するために生活習慣病の予防、食生活、身体活動のポイントをバランス良く日常生活に組み込みましょう。かんたんに見直せるのは食事です。1日3回、欠かさずに食べて、筋力低下を予防するためにタンパク質を含む「主菜」「副菜」をとりましょう。魚や大豆、たまご、野菜類、きのこ類、海藻を使った料理を食卓に並べます。しかし、オーラルフレイル(口の衰え)になって、せっかくの料理も食べることができなくては意味がありません。フレイルを予防改善するためにはお口周りの機能や健康の衰えを見過ごさずに早めに対処しましょう。このような症状に気づいたら、早めに対処!が肝心です。歯磨き清掃や定期検診、口周りのマッサージを効果的に用いましょう。

  • 硬いものが食べにくい
  • 口が乾燥しやすい
  • 食べるとよくむせる

フレイル予防

フレイルにならないよう、あるいは進行を防ぐために、普段の生活で心がけたいことがいくつかあります。

持病のコントロール
高血圧や糖尿病などの慢性疾患がある場合は、医療機関を受診しましょう。

適度な運動
かかと上げ、片足立ち、スクワット、上体起こしなどの運動を行ない、筋力の維持・増強を図ります。骨格筋の形成・維持に必要なたんぱく質を十分に摂取しましょう。

規則正しく、バランスのよい食事
たんぱく質、カルシウムを含む食品をバランスよくとることが勧められます。一人での食事は、栄養が偏りがちになります。家族や友人と一緒に楽しく食事をすることで、食欲も高まります。

感染症の予防
手洗いやうがいを積極的に行ないます。

外出の機会を増やす、社会活動に参加する
家に閉じこもりがちになると、運動器の機能の低下につながります。地域社会に積極的にかかわり人と交流することがフレイルの予防に効果的です。

食事や運動に気を配り、毎日の生活を充実させることでフレイルを予防しましょう。


高齢化率は、先進国が高く、発展途上国は低くなります。アメリカ合衆国、イギリス、ドイツ、フランスのような先進国は高齢化が進んでいます。しかし、これらのどの国よりも、日本は高齢化が進みました。65歳以上の人口が、全人口に対して7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、21%を超えると「超高齢社会」と呼ばれます。一体、今の日本は、どのような社会構造なのでしょうか?

数字で見る日本の高齢化率

日本の総人口は、2018年10月1日現在、1億2,644万人となっています。そのうち、65歳以上人口は、3,558万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)は28.1%となりました。15~64歳人口は、1995年に8,716万人でピークを迎え、その後減少に転じ、平成30年には7,545万人と、総人口の59.7%を占めています。

グラフで見る日本の高齢化

日本は、1970年に「高齢化社会」に突入しました。その後も高齢化率は急激に上昇しています。図-1 高齢化の推移を御覧ください。1994年に高齢社会、2007年に超高齢社会へと突入しました。高齢者率は2025年には約30%、2060年には約40%に達すると見られています。

図-1 高齢化の推移
現役世代1.3人で1人の65歳以上の者を支える社会が到来します。
1950年には1人の65歳以上の者に対して12.1人の現役世代がいるのに対し、2015年では65歳以上の者1人に対する現役世代は2.3人になりました。このように高齢化率は上昇、現役世代の割合が低下し、2065年には、65歳以上の者1人に対して1.3人の現役世代という比率になる予測です。
社会構造の変化
急速な高齢化の中での社会構造の変化において、特に医療や福祉の分野に非常に影響が大きいと考えられています。疾病構造の変化や要介護者の数の急増はその象徴です。

健康は健口から

平均寿命の延伸と生存率の高止まるなか、介護を必要とせず自立した豊かなシニアライフを送るためには、できる限り老化を遅らせる「健口」の展開が望ましいと考えています。とくに寝たきり、要介護の入口となる、予防対策の戦略的な対策としての「健口」をしっかりと定義・位置づけ、その啓発や提案をFlora&metabolite labでは、積極的に図っていきたいと思います。


消化管は大胆な臓器と言えます。人の身体に通る全長9mもの中空の管が、身体内部と外界の接続をしているからです。外界から、いろいろなものが身体のなかに運びこまれる一方で、吸収や排出の選択が行われます。生命をつないでいくために欠かせない役割を担うわけですね。

腸管の生体防御能


食物の摂取をすれば、外来抗原も入ってきます。有害な抗原からの感染リスクに対して、消化管の免疫能は発達してきました。腸には人間の最大の免疫組織としてリンパ球の半分以上が存在しています。顎が発達し、口に歯が備わっている人は固いものを噛み砕くことができます。固いものを食べられるようになると消化管が傷つかないよう免疫能の進化もすすみました。その他、交換神経、副交感神経に次ぐ第三の自律神経とされる腸管壁内神経系があり、腸管は生体防御の最前線を担う免疫を生み出していました。

腸内細菌叢と研究


500種以上100兆個にも達する腸内細菌叢を有することも腸管の特徴のひとつです。一般的に腸内細菌は、培養が難しい菌種も多く、その全貌は明らかになっていませんでした。近年、NGSなどの遺伝子配列解析技術の進歩により、腸内細菌の全貌を把握する研究が始まりました。腸内細菌による免疫調節は、炎症や自己免疫に関係すると考えられているインターロイキンを作り出すT細胞に重要な細菌や、免疫抑制細胞を調節する腸内細菌が見つかっています。

腸内細菌叢が健康を作り出す?


腸内細菌と健康や病態の関連が知られるようになりました。また腸内細菌が肥満などにも関係するという研究結果もあり、生活習慣疾病群に関わる分野として大きく発展していくでしょう。当社でも、消化管や腸内細菌叢研究を進めることで、人の健康基盤をより強固にしていけるよう研究を行っています。


私たちは、さまざまな刺激にさらされています。時代とともに社会の複雑化は進んでいて、進化に伴って受ける刺激の種類や量が増え続けています。現代のように多様かつ慢性的な刺激に対して、人の身体はどのような反応をしているでしょうか。

さまざまな刺激

人は外部から刺激が加わると、心がそれを受け取り、身体が反応して変化します。刺激の伝達経路には複数あると言われていますが、主に自律神経系が担います。外部からの刺激を「ストレッサー」、そしてストレッサーによって引き起こされる生体の反応を「ストレス」と定義をしたのはハンス・セリエ(1907~1982)という研究者でした。

 

 

 

ストレス(正しくはストレッサー)は、以下のようなものが代表的です。

  • ①物理的なストレス
  •  騒音、温度湿度、けが等
  • ②生理的なストレス
  •  睡眠や栄養不足、細菌感染
  • ③心理的・社会的ストレス
  •  人間関係、不安、怒り、恐怖、失望等

ストレスの作用


誰にでもストレスはあって当然ですが、ストレスが、その人の耐えられる限度を超えてしまうと、心や体に変化が起こります。酒量が急に増す、暴飲暴食、派手な散財をする等。行動に変化が現れた場合は注意しなくてはなりません。慢性的で過度なストレスは、自律神経のバランスを崩します。やっかいな点は、影響を受ける自律神経は、無意識で反応する神経であり、自律神経の不調和に対する自覚的なコントロールが効かないという点にあります。

体調不良の原因


体の不調の背景にもこころの問題が潜んでいるとすれば、胃潰瘍や偏頭痛など、わかりやすい身体の症状を引き起こしていても表面的に過ぎない可能性もあります。最近増えている「うつ病」も、身体症状の陰に精神症状が隠れてしまい、本当の病気が見逃されてしまうことが多いのです。ですから、体に不調があって、治療をきちんと受けているにもかかわらずいっこうに症状が改善しないという場合は、自分のこころに目を向けてみることが必要です。

ストレスの許容値


ストレスの許容値は、人によってかなり差があります。同じようなストレス刺激を受けても、病気になる人とならない人がいます。その違いは、ストレスの受け取り方によって決まるということです。ストレスからくる体の変調を予防するには、外部からのストレスを減らすだけでなく、自分の内面にも目を向けることが必要になります。

心のバランスは健康の重要な要素です。ストレスフルな現代で心を病む人が増えて問題となっています。心の病と免疫は、何の関連もなさそうですが、最近、その関連が注目されています。

細胞伝達物質の影響


咳がとまらない、高熱で具合が悪いときは、身体のつらさばかりでなく、やる気が起こりません。インフルエンザや細菌に感染すると、身体の中で免疫細胞から炎症性サイトカインが作り出されます。サイトカインのような細胞から分泌される低分子のタンパク質は細胞間相互作用に関与し周囲の細胞に影響を与えます。もちろん神経系にも作用を及ぼします。

つまり身体が病気と闘っていると炎症性の細胞伝達物質が生産されるため、その影響を受けるという訳です。感染症やガン、リウマチなどは炎症性サイトカインが高まりやすい身体の状態と言えます。そのような時はゆっくり身体を休めたほうがいいので、神経に働きかける仕組みとしては非常に理にかなった作用とも言えますが、この作用が強くなりすぎると生活に支障が出たりします。

神経や免疫は生体機能に密接に関わり合う

交感神経・副交感神経、様々な神経伝達物質が免疫応答を調節することが知られていて、免疫作用にサイトカインが神経機能や精神機能の調節に関与することが注目されています。神経に働きかけるような薬剤が処方されることもありますが、そのような薬剤の副作用にウツがあらわれることもあるのです。
心の病では外見上大きな変化はありませんが、末梢血の免疫細胞を調べると炎症性サイトカインを出しやすい状態になっていることがわかってきました。今研究がすすめられているエリアです。このように、神経や免疫というシステムは、人の生体機能を維持するために、密接に関わり合い、調節し合う複雑な高次機能ネットワークであると言えるでしょう。

今年の冬は暖冬と言われています。2月なのに例年に比べると暖かい気がしますね。
気温が高くなるのはうれしいことですが、寒暖の差が大きいと、体調を崩しやすくなります。
行事が多く疲労が蓄積しやすい時期は、体力だけでなく病気に対する抵抗力も低下する冬の健康管理には一層の気配りが必要です。

健康の要素 定期的な運動

定期的に運動をすることで生活習慣病の予防や筋力アップを期待できるほかにも身体の機能を効果的に維持することができます。どんなにバランスの良い食事を摂っていたとしても摂取したエネルギーを運動で上手に消費しなければ健康な身体を維持することはできません。運動を行わずに日々ダラダラと過ごしてしまうと、脂肪が蓄積され肥満に悩まされることもあるでしょう。定期的な運動は、糖尿病や高血圧を予防できるなど生活習慣病の対策にもなります。ウォーキングや水泳など軽い運動であっても、時間を見つけて定期的に行うことで身体のバランス機能を整え、さらに全身の筋肉を鍛えることも可能です。運動は、メンタル面の健康にも科学的根拠があると言われています。ストレス発散につながり、リラックス効果を得ることができるため、睡眠の質を上げ、鬱や不安な気持ちを予防することや改善する効果が期待できます。

おすすめ!室内ですぐできるストレッチ

コンディション調整ストレッチ
出かける前、一日の生活の始動時に筋肉を伸ばします。柔軟性を維持するだけではなく、疲れのリフレッシュや心身の安定と運動のきっかけにストレッチは疲労の軽減になります。※柔軟性は個人差が大きいので、無理をせずにゆっくりお取り組みいただくことをおすすめします。。

その他の室内でできる運動
壁スクワット 無理をせず、初めのうちは一日2、3回から始めます。人間の体で一番大きい筋肉、太ももを中心に鍛えます。一番大きい部位を鍛える事で基礎代謝量が増え、太りにくく痩せやすい身体づくりにもいいですね。
やり方:
1.両足を肩幅位に開いて、壁の前に立ちます
2.両手を頭の後ろで組みます。
3.つま先を壁にくっつけ、ゆっくり膝を曲げながらお尻をつき出します。
スロージョギング 隣の方と話ができるくらいの運動の強さで行うジョギングです。スロージョギングを初めて行う人は大体20分ほど走るのが良いとされていますが、まとめて20分でなくても構いません。細切れに走る→休むを繰り返すインターバル走法で、徐々になれましょう。慣れてきたら1日の合計30分を目指します。これも同様に間に休憩をはさんでも大丈夫。
その場足踏み 前には進まず、その場でウォーキングをしているようなイメージになります。ウォーキングやジョギングなどの場合、天気に左右されやすいですが、家でできる足踏みダイエットであれば天気に左右されることはありません。そしてテレビを見ながら行えるので、運動が苦手な方でも継続しやすく、あっという間に時間が経っているはずですよ。

ということで、体調を壊しやすいシーズンに気軽にできる運動をまとめてみました。ぜひ心身を養生していい春を迎えたいと思います。